経産大臣の萩生田さん、その通りなんですが・・

かつて日本半導体は、世界シェアの半分強を占め、世界を席巻していました。NHKでは「電子立国日本」という番組を放映して半導体産業を持ち上げ、まさにイケイケどんどんの業界でした。

私事ですが前職時代、産業ガスの営業をしており、半導体企業はガスの超大口顧客で、シランなどプロセスガス、窒素などキャリアガスを山ほど使っていただけるので、三菱電機、日立製作所、富士通などの資材部に日参していました。(あの時は若かった・・)

あれから30年あまり経ち、日本半導体は凋落の一途です。世界シェアは10%を切り、かつて下請けだった台湾メーカーに、日本に工場をつくるよう物乞いをする有様、その上、日本半導体を叩き潰した張本人の米国にすり寄り、今般日米間の半導体協力に関する基本原則をまとめました。

そしてその日米協力後の記者会見で、萩生田経産大臣が、「米国と半導体で手を握り合うのはいささか奇異な運命を感じる」と、つい本音発言をしました。荻生田さん、その通りなんですが・・

当時の米国は、日本の半導体産業を弱体化させようと躍起になっていました。バイアメリカン、日本企業は購入額の20%を米国から買え、超不平等な「日本米半導体協定書」を結べなど無茶苦茶な要求を繰り出しました。安全保障もちらつかせ、そんな無理難題を政府に呑ませたのです。

さらには当時の宮澤首相が、バブルを強引に終わらせるため、金利の大幅引き上げや融資の総量規制など無理やりな政策を実行し、それからというもの半導体のみならず日本の産業や経済が凋落の一途をたどったことは周知の通りです。かつて世界経済の20%近くあったGDPは、いまや5%あまり、日本経済の崩壊とともに、日本半導体のポテンシャルも技術力も奪われていった、そんな時代でした。

それもこれも米国というより、諸悪の根源は日本政府、なかんずく経済産業省が、経済政策,産業政策を間違えてしまい、自滅したことです。結果論ですが、グローバル化をうたい日本企業が海外に出ていかざるをえない政策を連発した、企業は日本的で強い商品を見限り,世界市場でコスト競争にハマり,培った技術力を捨ててしまった・・まさに負のスパイラルです。

しかし何を言ってもあとの祭り、いまを生きる我々は、来世紀の日本の子供たちに、精神的経済的に生成発展する社会を引き渡さなければなりません。そこでモノを言うのは、やはり日本人固有の勤勉な国民性や、お客様を大切にするサービス精神です。

これも厚生労働省が働き方改革などいらん世話をしています。しかしながら個々の企業においては、独自の長期的戦略を持ちつつ、まず従業員を大事にし幸せにする、ビジョンを見据えつつ、従業員ひとり一人が、きょう一日やるべき仕事に力を尽くす風土を作る、言うのは簡単ですが、凡事を一つひとつ、コピー用紙一枚一枚を積み重ねることこそが、唯一企業が、国民ひとり一人が生きる道だと思います。

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